新築から数十年が経った住宅は、毎日の生活を送る上でさまざまな問題点が見受けられます。水まわりの老朽化や設備の機能低下は避けられない課題です。そこで注目されているのが「リノベーション」と「リフォーム」です。どちらも住まいの改修工事を指しますが、具体的な違いをご存じない方は少なくありません。今回は両者の違いや特徴についてご紹介します。
1. リノベーションの特徴
リノベーションの特徴としてあげられるのは、主に以下となります。
1-1. リノベーションとは大規模な改修工事
リノベーションとは、古くなった建物の内外装を大がかりに改修し、新築同様の状態に生まれ変わらせる大規模なリフォーム工事のことを指します。構造体や設備機器を含む各所の改修を伴うため、入居者の長期の仮住まいが必要になるのが一般的です。
1-2. 構造体の大規模改修が特徴
リノベーションでは建物の構造体そのものにメスを入れます。たとえば、間取り変更のために壁を新設したり、避難経路の確保や耐震性の向上を目的に開口部を新たに設けたりするなど、躯体となる部分に大きな手を加えるのです。このように骨組みの大規模な変更を伴うため、建築基準法の確認申請が必要になるケースがあります。
1-3. 躯体だけでなく設備機器の入れ替えも
構造体に限らず、電気設備や給排水設備、空調設備なども入れ替えが行われます。ライフラインとなる設備機器の更新は、水まわりの環境を一新するだけでなく、省エネ性能の向上やバリアフリー化にもつながります。たとえば家電の高効率化で光熱費を抑えたり浴室に手すりを設置したりと、快適で安全な住環境を実現できるのがメリットです。
1-4. 内外装のリフレッシュも大規模
リノベーションの大きな目的の一つが、内外装のリフレッシュです。内装では床・壁・天井のリフォームはもちろんドアや建具、キッチンなども新しくなります。外装についてもサッシや外壁の張替えなどが行われ、新築同様の外観に生まれ変わります。このようにリノベーションでは内外装を一新することで、住まいの印象を一変させられるのが大きな魅力です。
2. リフォームの特徴
リフォームの特徴ですが、基本となるのは以下の通りです。
2-1. リフォームとは部分的な補修工事
リフォームとは、建物の一部分を修繕・改修する比較的小規模な工事のことを指します。水まわりの設備交換や内装の一部張り替えなど、工事がある程度の範囲に限定されるのが特徴です。仮住まいは基本的に不要で、短期間の工期で完了できるのがメリットです。
2-2. 主に水まわり設備の入れ替えが中心
リフォームでは水まわり設備の入れ替えが最も多く行われます。古くなった浴槽やユニットバス、洗面化粧台を新しいものと取り替えることで、使い勝手が格段に向上します。トイレの洋式化なども一般的な工事内容です。給排水管の一部交換を伴うケースもありますが、配管の大がかりな移設は行いません。
2-3. 内装の一部張り替えも人気の工事
リフォームでは内装の一部張り替えも多くみられます。キッチンの取り替えや床や壁の一部張り替えなどです。クロスや床材のリフレッシュで、部屋の印象が一新されます。しかし、構造体には手を加えないため、間取りの変更は基本的に困難です。
2-4. 外装の小規模リフォームも含まれる
一般的には内装と水まわりのリフォームが中心となるものの、外装の小規模な補修工事も含まれます。たとえば玄関扉やサッシの取り替え、外壁の部分補修などです。全面的な張り替えは行わず、損傷個所の補修に限定されるのがリフォームの特徴です。
3. リノベーションとリフォームの違い
リノベーションとリフォームの違いですが、主に以下の3つがあげられます。
3-1. 工事の規模が大きく異なる
リノベーションとリフォームの最も大きな違いは、工事の規模です。リノベーションは建物の構造体や設備機器を含む各所の大規模な改修工事という点に対し、リフォームは水まわりや内装の一部分の補修に限定された小規模な工事と位置付けられます。
リノベーションでは躯体の大幅な変更を伴うため、間取り変更や開口部の新設など、建物の骨格を根本から作り変えられます。一方リフォームでは構造体には手を加えないため、間取り変更は基本的に不可能です。改修できる範囲が限られている点は大きな違いです。
3-2. 工事期間も大きく異なる
工事の規模が異なれば、当然工期にも大きな開きがあります。リノベーションは数か月から半年以上の長期工事となり、入居者は仮住まいを探さなければなりません。一方リフォームは数日から数週間程度の短期間で完了します。生活の拠点を移す必要がないのは大きなメリットです。
3-3. 目的や期待値が異なる
このようにリノベーションとリフォームは規模や工期面で大きな違いがあり、その目的や期待値も異なります。リノベーションはあたかも新築と同様の大規模改修を行い、環境を一新することが期待されます。一方リフォームの目的は建物の一部分の環境改善や機能向上にあり、大がかりな改修は求められていません。
改修したい範囲や期待水準を明確にした上で、リノベーションかリフォームかを適切に選ぶことが重要です。費用面でも規模に応じて大きな違いがあるため、事前に十分検討しましょう。
4. まとめ
リノベーションとリフォームでは、改修の規模や内容面で大きな違いがあります。リフォームは部分的な補修で済むケースが多く、コストを抑えられるのがメリットです。一方でリノベーションは大がかりな工事のため、費用は高額になる傾向にあります。予算や物件の状態、ご家族の要望に合わせて、リノベーションかリフォームかを適切に選びましょう。確かな施工実績を持つ専門業者に相談すれば、理想の住まいを実現できます。
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